インタビュー

小野　今まであまり表に出てこなかった、白糸台の（宮永）照以外のメンバーの戦いぶりがひとつの見どころですね。白糸台は『阿知賀編』だけでなく、『咲-Saki-』という作品全体の中でも、とても重要な位置を占める高校です。にもかかわらず、これまでは謎に包まれていた部分も多かったので、次鋒から大将までにどんな選手がいるのかが、だんだんわかってくる過程は、スペシャルエピソードでの大きな楽しみになると思います。また、白糸台はすごく強い高校で、照と（弘世）菫がインタビューを受けた後のシーンでも、後輩がずらっと並んで出迎えていたりして、今まではちょっと怖いイメージがあったと思うんです。でも、実際の控室ではわりとアットホームであったりとか、そういうギャップ感も楽しみにしてもらいたいと思います。照に関しても、試合中は感情のないマシンのようでしたが、あれは麻雀に集中しているのであって、普段はどこにでもいそうな、わりとほんわかしたタイプのキャラクターなんだという一面が見られます。特に（大星）淡とのやりとりは楽しめると思いますよ。

小野　新道寺のキャラクターも非常に立っていて、特に白水哩と鶴田姫子のコンビネーション打ちには注目ですね。普通は同じ卓にいなければコンビネーションにならないんですが、すごい技を見せますので（笑）。また、阿知賀に関しても、“阿知賀のレジェンド”といわれる（赤土）晴絵が、実際に監督として部員たちに、どういう指導をしているのかが多く描かれていきます。それに、テレビシリーズでは（松実）玄の麻雀描写がクローズアップされることが多く、他のメンバーでは（新子）憧と（松実）宥の打ち方の特徴がわかっているだけです。（鷺森）灼と（高鴨）穏乃の麻雀描写はほとんど描かれてこなかったので、準決勝ではその2人がどんな戦い方をするのかをあますことなく描いていきたいと思います。この全国大会に対して、灼は晴絵への想いから人一倍強い気持ちを持っているし、穏乃は強敵がそろう大将戦に一体どういう打ち方で挑んでいくのか？　今まで穏乃は根性で立ち向かうようなキャラクターでしたが、そんな彼女がどんな能力を開花させるのかを楽しみに待っていて欲しいですね。

小野　わかりやすさでいえば、白糸台には、菫の“シャープシューター”、（亦野）誠子の“フィッシャー”といった、カッコいいふたつ名があるキャラクターがいるので、そういう部分をスタイリッシュに描いていければと思っています。ただ白糸台には彼女たちの後に、大将の淡が控えていますので、じゃあ淡は一体どういう能力を持つキャラクターなんだろうというのが、これから先の最大の楽しみになるんじゃないかと思っています。大将というポジションで考えれば、もしも清澄と戦う場合には、咲と戦うことになるわけですから。強豪である白糸台で、一年生で大将を務めている者がどれだけ強いんだろうというところを、ビジュアルイメージを含めて存分にスペシャルエピソードで描ききろうと思っています。

小野　まず断っておきたいのですが、アニメ『阿知賀編』を制作するにあたり、当初から全15話構成というのは決まっていたんです。そのうちテレビ放送分は12話で、残り3話分は別の形で発表しようと。そこでテレビ放送分をどこで区切るべきかを検討した結果、準決勝先鋒戦までで区切ることになったんです。ただ残り3話で準決勝の最後までを描くには、テレビフォーマットと同じ尺（本編20分弱程度）だとやはり足りない。ですから、スペシャルエピソードはAT-Xさんの放送枠ギリギリまで使って、本編27分以上の尺で制作しています。それでも、ここはもっとじっくり描きたいという部分が出てきてしまったんですよ。

小野　そうなんです。せっかく表現したいものがあるのだから、枠に無理やり押し込めるより枠を拡げるべきだと考えました。ですから、私の方から無理を言って１話増やしてもらい、アニメ『阿知賀編』は全16話となりました。ファンのみなさんへ当初は全15話という形で発表していたので、その点は大変申し訳なく思っております。ただ、その分全力で取り組んでおりますので、何卒ご了承下さい。しかも通常のフォーマットよりも長い尺での４話分なので、通常の５～６話分で、次鋒戦から大将戦、そしてエピローグまでを描くことになります。ただ今、鋭意製作中ですので、ぜひ楽しみにお待ち下さい。